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相性診断にはご注意を。

i Pod、というものがある。
まあ、世界でおなじみのリンゴマークが目印のあの製品である。
んで、それの「touch」とかいうのがある。
タッチパネル搭載で、専用のアプリなんかもあるから、人気もあるんだけれど…

今回は、そのアプリがダメだったのだ…

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「あ、ず、さーーーーーー!!!!!!!」

放課後。弓道部からの帰り道、翼に捕まった。
今日は生徒会があると言っていたから、終わったついでに迎えに来たのだろうか。

「あ、翼。生徒会の仕事は終わったの?」
「ぬん!!!天才にかかればあんなのちょちょいのちょいなのだ!!!!」
「ん、そっか。じゃ、帰る?」
「あ、梓、今日は梓の部屋行きたいのだ。」
「いつもそんなこと言わないで勝手について来てると思うんだけど…いきなりどうしたのさ。」
「いーから、はやく行くのだー!!!」

ぐいぐいと翼が背中を押す。
こうなったら翼を止めるのは容易ではない。
しかたなく、僕はいつものように射手座寮へ向かうのだった。
で、着いたわけなんだけど。

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「ねー、翼ー…」
「ぬー?」
「…なにしてんの?」
「梓の手を縛ってるんだぞー。」

…いやそれおかしいでしょ。
絶対おかしいだろ。色々間違ってるだろ。

「どこをどうしたら僕を縛るっていうことになるわけ?」
「ぬー?梓が悪いんだぞー?」
「意味わかんないんだけど…!!!」

…ここまでの経緯を適当に話すとつまり、i Podのアプリを使ってて。
指先と指先を合わせると相性がわかるっていうのがあったんだけども。
僕と翼の相性が最悪だったわけだ。

「って、ちょっと待った、それ僕全然関係ないよね!?
どこをどう解釈したら僕が悪いってことになるわけ!?」
「ぬーん…。わかった。」
「そう、わかってくれt…」
「ぬいぬい呼ぶぞー。」
「…は?」

翼は僕にはお構いなしで不知火会長に電話をかける。
電話をかけ終わった翼はちょっと大人しくなる。でも、僕の手を縛るネクタイを取る気はないようだった。

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とりあえず言おう。
これは言おう。柄じゃなくても絶対に。
どうしてこうなった!?

「不知火会長…すみません…」
「いや…俺もなんかすまん…」
「ぬー、二人ともうるさいぞー。な、のっぽ先輩。」
「そうだね、ちょっと大人げないとは思うけど、仕方ないよね?天羽君。」

…いや、不知火会長と部長がそういう関係なのは知ってた。一応。
でも、だからって、ちょっとコレはないんじゃないか。
いま、不知火会長は僕の横で僕と同じように縛られている。縛ったのは部長だ。

「たかがアプリでしょう?なにもこんなことしなくても…」
「「だからって自分の恋人がほかの男と相性最高とか耐えられない(んだよ?)(のだ!!!)」」

…そう、あのアプリをやったのだ。僕、翼、不知火会長、部長の4人で。
結果、翼と僕、不知火会長と部長の恋人同士の相性は最悪。
そこで落ち込むまではまだ良かったんだけど……不知火会長と僕の相性がなぜか最高だと出てしまったのだ。

「…最悪だ。」

このままでは許してもらえそうにない。いや、僕らは全く悪くないんだけど。

「おい木ノ瀬、俺にいい案がある。これで失敗したら本気で殺されるが、成功すれば確実に解放される。」
「失敗なんかされたら困りますが…いいです、もうこのさいですからやっちゃってください。」

僕は、不知火会長にあとを任せることにした。
とりあえず、成功したら翼を殴っておくとしよう。

「で、どうするんですか?」
「まあ見てろって。」
「おい、誉。」
「なに?一樹。」
「今、ホロスコープ持ってるよな?」
「そりゃ持ってるけど…どうしたの?」
「俺と誉、そして木ノ瀬と翼の相性くらい、占えるよな?」
「ま、まぁ…」
「占え。」
「…そうだね、わかったよ。じゃあちょっとまってて。」

なるほど、部長に占わせるのか。
確かにこれなら結果も信頼できるだろう。
…まあ、これで失敗したらそれこそ本当に終わりだと思うけど。

「でたよ。」
「おう、どうだった?」
「僕と一樹、木ノ瀬君と天羽君…どっちも相性良好、だって。
運命の人、とも出てる。」
「それは、お前の占いだ。信用できるよな?」
「うん。」
「俺はお前を愛してる。お前の占いでも結果が出た。」
「…うん。」

返事をしながら、部長はするすると不知火会長の手を縛っていたネクタイをほどいていく。

「ごめんね、一樹…痛かった?」
「これぐらい平気だ。帰るぞ。」

…え、あれ、ちょ、不知火会長…

ばたん。

扉の閉まる音。
僕らを放置して帰ってしまったようだ。

「…翼。」
「梓。」
「なに。」
「…梓からでいいぬー…。」
「…僕は、翼が好きで、信じてるよ。
翼は、そうじゃないの?」
「俺だって、梓が大好きだ!!!愛してる…!」

翼が、僕の手のネクタイをほどく。

「なら、さ、あんなので振り回されないでよ。」
「…ごめん。」

しゅる、とネクタイがほどけた。
僕は翼に抱き着いて、こう言った。

「分かったなら、今回は許すから。」

ぬいほまを書こう!と思ったらいつの間にか翼梓が出張ってました。なにゆえ。
ぬいほまもよく見るCPですが、この二人は本当に熟年夫婦のような雰囲気がありますよね。
見ていてほっこりするカップルNo1かもしれませんね。